これまで毎年、県東部12市町で連携して「人権を考えるつどい」を開催してきた。
その推進団体は12市町で構成する「埼葛郡市人権施策推進協議会」であり、「人権推進会議」である。
「人権を考えるつどい」自体は実行委員会で運営しているが、これらは実質的には同じ組織であると考えてよい。
埼葛郡市人権施策推進協議会の会長は、ずっと久喜市長が務めていて、久喜市が中心的な役割を果たしてきた。
昨年9月にその人権施策推進協議会や「つどい」実行委員会の運営に関して、パワハラや使途不明金を指摘する内部告発があった。
人権推進協議会として、調査を行っていたが、その内容が明らかにされない内に、久喜市長が会長を辞任するとともに、久喜市として推進協議会を脱退してしまった。
その経行政過は、猪股のホームページおよび『声と眼』669号(2024年4月)で書いてきた。
【4月10日 「人権のつどい」の使途不明金どうするへのリンク】
過去の使途不明金やパワハラの内部告発があったにもかかわらず、その実態解明がまったくなされないまま、半年が経過した。
そして、久喜市は、人権行政推進協議会と人権推進会の中核的な構成団体であったのだが、一方的に脱退し、梅田市長が会長を辞任してしまった。
しかし組織そのものは残っている。
久喜市の脱退後、久喜市を除く11市町で協議してきたが、結局、今年度の「埼葛人権を考えるつどい」は中止を決定したという。
「つどい」の中核的な推進役であった久喜市が一方的に脱退してしまって、実態解明の責任を負うべき会長である久喜市長が辞任してしまったのだから、事実の解明もできないし、「つどい」を継続できるはずもない。
いわば「中止」の結論はわかりきっていたことではある。
今後に残された問題は2つある。
第1は、使途不明金とパワハラの事実究明と、その責任は誰がどのように負うのかである。
どのような組織・団体でも、会社でも、内部で使途不明金やパワハラなどの問題が指摘されたら、当然に、組織の代表者が先頭を切って事実の解明を行うのがあたりまえである。
事実の解明がどの程度できるか、できないかは別として、その後に2度と同じ問題を起こさないための組織の正常化なり改善対策を講じなければならない。
その過程で、組織の代表者は、組織の正常化なり改善に責任を負って行動し、必要があれば責任を取って辞任することもあるだろう。
しかしそうした事実の解明、組織の正常化や改善は、組織や団体が内部で連携し一体となって進めていくことでなければならない。
ところが、この問題に関しては、事実の解明も、組織団体の正常化も改善も、何もなされていない。
第2の問題は、久喜市の脱退、久喜市長の会長辞任の経緯である。
久喜市の脱退も、久喜市長の会長辞任も、推進協議会や推進会議には諮ることなく、一方的に行われた。
3月18日に、久喜市長名で、11市町の首長宛てに送付された文書の中で、久喜市長は「会長は辞任し」「脱退する」と書いたことで、文字通りに一方的に「脱退・辞任」したのである。
それは、普通の組織であれば当然にあるであろう「脱退・辞任したいので届け出ます」というよう文章はなく、「脱退し、会長を辞任する」という一方的な通知であった。
久喜市としての組織脱退も久喜市長の会長辞任も、11市町の理解も了解も求めないで、いわば勝手に「辞めた」のであった。
これは一体どういうことを意味するか。
本来ならば、久喜市長は組織の会長として果たすべき、事実解明の責任も、組織の正常化や改善の責任もいっさい果たすことなく、ただ単に「久喜市は辞めたから、もう関係ない」とばかりに、その責任と組織を放り出したのである。
一方的に「辞めた」ことをもって、今後の組織運営や「つどい」のあり方についても、「久喜市は貯めたんだからもう関係ない。11市でどうにでもしてくれ」と、その責任を押しつけたのである。
これはこれまで久喜市が先頭に立って推進し、協力を求めてきた、11市町に対する裏切り以外の何ものでもない。
調子のいいときには「会長」としてさんざん羽振りをきかせてきておいて、組織運営の問題が指摘されるやいなや、他の11市町の首長さんたちに相談も了解も得ずに「辞めた」と宣言して放り出し、果たすべき責任からさっさと逃げ出すなんて、それでいいのか。
問題が出るや責任を取らずに放り出した梅田市長は、11市町の首長たちと同じ「政治家」として、恥ずかしくないか。
久喜市長として、政治家としての資質と信用が問われているのである。
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久喜市長の会長辞任と久喜市の脱退は、3月18日、久喜市から11市町への一方的な通知によって行われた。
通知は、久喜市長 梅田修一」から「埼葛11市町首長様」として、「○○○○等への対応停止について」という文書を郵送した。
その「別紙」で「人権施策における民間団体への対応について」という文書の中で、「埼葛郡市人権施策推進協議会及び人権施策推進会議・埼葛地区連絡会議の会長は辞任し、本日をもって同協議会及び同会議から脱退する」と書いた。
つまり、久喜市長が会長を務める組織の、他の市町長に対して、「脱退届け」や「会長の辞任願いあるいは辞表」を提出したのではなかった。
「○○○○等への対応停止について」の「○○○○」は黒塗りになっていてわからないのだが、人権施策を進めてきた民間団体の名称が書かれていると推測できる。
久喜市がその団体にどのように対応するかを説明した文書の「別紙」の中で、まるでついでのように「脱退・会長辞任」を書いて、それで11市町の首長には知らせたということらしい。
しかし、少なくともこれは、辞表でもないし、脱退届の体裁も取ってはいない。
下の写真が、梅田久喜市長名で11市町長あてに送付した一方的な通知だ(情報公開請求で取得)。
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久喜市民